三途の川

三途の川とは、お彼岸という言葉があるとおり、仏教であの世を彼岸、この世を此岸(しがん)と呼ぶことから、あちらの岸とこちらの岸を隔てる川、つまりあの世とこの世を分ける川のことをいいます。
意識不明になったか、医学的に死んだ状態になった人が、意識を取り戻すか蘇生してから、三途の川を見た体験を語るケースはめずらしくありません。
果たして、三途の川は本当に存在するのでしょうか。

三途の川を見た人たちはどんな体験をしたか

葬儀まで話が進んだ後で蘇生したかたの話では、三途の川に向かう道の脇には、祭壇で飾られている花が咲いていたそうです。
一般的に祭壇は白い花を飾ることが多いので、多くの人は白い花が咲いた道を歩くことになります。チューリップを飾ればチューリップが、ヒマワリを飾ればヒマワリが咲いています。
川に到着すると、伝承では賽の河原があり、幼くして亡くなった子供たちが積石塚を立てているといわれますが、ほとんどのかたが子供たちを見ていないようです。
そのほかに懸衣翁(けんえおう)、奪衣婆(だつえば)がいて、死者の罪を計るといわれていますが、このふたりの姿を見たという話はほぼ聞かれません。
舟に乗ったという人もいれば、川を歩いたという人もいます。伝承では川の深さが生前の罪の重さだといわれますが、罪を問われている体験の人もほぼいません。
川すらなく、草原を歩いたという人もいます。
いずれにしても、歩いた先にはすでに亡くなっている身内が数人立っており、笑顔で手招きされたとか、「まだ来るべきではない。帰りなさい」と言われたとか、ただやさしく見つめてきただけだったといった、さまざまな体験が聞かれます。

三途の川やそこへ通ずる道に到着する前に、死んだ自分の体を見下ろしている体験をしている人も多いです。その際に、医療従事者や家族の会話を聞いています。時計を見るという人も少なくありません。
そのあと、光のトンネルを通るとか、真っ暗なトンネルを通るといったさまざまなバリエーションの後、三途の川に向かう風景になるようです。

三途の川を見た人たちの共通点

三途の川を見た人たちの共通点に固定されたものはありませんが、いくつか被る点はあります。「自分の身体を見下ろす」「花畑を通過する」「川を渡る」「死んだ身内がこちらを見ている」などです。
しかし、まったく同じ川を見るというわけではないようで、「浅い川」「深い川」「渡ろうとしたが渡れなかった」「向こう岸に渡ってから死んだ身内に追い返された」など、さまざまなバリエーションがあります。
三途の川自体は仏教を由来としていますので、ほかの宗教では必ずしも川ではなく「光の中から、すでに死んだ身内が現れた」「空を飛んでいた」「空に浮かぶ階段を上っていた」「草原にいた」といったように、宗教観が影響していることがわかります。
それでも、やはりいくつか被る点があり、「死んだ身内がいる方向は光っていて背景が見えない」といったように、あの世と思われる方向は光の先にあることや、花畑や草原など「丈が低く美しい植物が茂る平地を歩く」、死んだ身内が「心配そうに見ている」か「歓迎して手招きしている」のいずれかで攻撃的なものはないなど、そこに相反するものはありません。

このように見えた風景には大枠は同じでも、細かい点はまったく違うものであり、まるで「あの世に向かった夢を見ている」かのように思われがちですが、もうひとつ大切な共通点があります。
それは「その場にいた感覚をハッキリと覚えている」ことです。
例えば、夢の中では興奮、喜び、怒り、悲しみなどがわき起こりますが、それは日常の会話などが展開されて、そこから感情が引き出されるように、まるで今、体験しているかのような感覚です。体験しているかのようですが、ビデオの再生のようにストーリーは止められないものです。
しかし、臨死体験ではビデオの再生のような止められない感覚はなく、会った身内とはテレパシーで通じ合うように感情が伝わり、必ずしも声に出して話すとは限りません。
そして、そのテレパシーで愛情が直に伝わってきたり、意味深なことを言われて問いかけても理解できなかったりといった、今、コンタクトしているような体験です。
このハッキリとした感覚から、生還した人々は臨死体験を夢とは違うと実感しています。

三途の川は脳が作った幻覚か

多くの医療従事者にアンケートを取ると、あの世は存在するかどうかについては否定的だそうですが、ある脳外科医が著した本がアメリカでベストセラーになりました。『プルーフ・オブ・ヘブン 脳神経外科医が見た死後の世界』(エベン・アレグザンダー著白川貴子訳早川書房2013年10月10日刊)です。
エベンは科学的に調べました。多くの医療従事者がいうように、もしも臨死体験が脳によって作り出された幻覚なら、髄膜炎によって脳の機能が停止した状態のエベンが見たあの世の風景は説明できないと気づいたのです。アメリカでこの本はとても話題になりました。
臨死体験をした人の中には、エベンの言葉を借りなくとも、確信を持つ人がいます。死んでいるあいだに見た光景を、意識が戻ってからだれにも聞いていないのに語り出し、いつ、だれがどこで何をしたかまで言い当ててしまった場合です。

川以外に天国へ向かう方法

伝統に従うと、三途の川があり、舟なり歩くなりして渡ることで天国に入っていきますが、近年は宗教離れや欧米文化の影響からか、新しい形も現れてきました。
アニメ『トムとジェリー』ではトムが死ぬと天国に通ずるエスカレーターに乗って昇っていくシーンが描かれていますが、それとまったく同じようにエスカレーターに乗ったという人や、足で空中を歩いて上っていく人、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』のように列車に乗って昇っていく人などがいます。

あなたはどんな方法で天国に向かうのでしょうか。

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